迫りくる隣家対策・住宅を建てる前に気にするべき3つの観点

住宅豆知識

こんにちは、ふみたです。

注文住宅に限らず、ほとんどの戸建て住宅にとって考慮しなければならない事の一つとして

隣地、隣家が自宅に及ぼす影響

という事があります。

これを考えずに建てたお家は

お隣から見えて落ち着かない

お隣にある見たくないものが見えてしまう

給気や窓から取り入れる空気が不快

外周に配置予定だったものが置けない


など、暮らしにくい事はもちろんのことトラブルに発展してしまうという事態になりかねません。

今回は隣地、隣家が及ぼす影響としてどういった問題があってどういう対策をすれば解決できるかどういった所を気にして建物の計画を行ったらよいか

①視線

②空気

③有効幅

の3つの観点でご紹介します。

これから建てられるの方はそういう問題のあるお家づくりにならないために

建売、中古住宅の方は買おうとしているお家のチェック項目の一つとして


参考にして頂ければと思いますので最後までご覧ください。

視線

避けるべきこと

お隣の窓や庭から自宅の室内が見える

自宅室内から見たくないものが見える

窓は中から外が見え外から中が見えるものです。

隣地との距離がかなり離れてる場合を除き、隣地面の窓は隣が見え隣から見えると考える必要があります。

特に主に暮らすリビングや主寝室は大きい窓をとって開放的にしたいと考える事も多いと思いますが、その窓から見える場所からは自宅室内が見えてしまう事を忘れてはいけません。

また隣地から見えるという事以外に、自宅から見えるものにも注意が必要です。

例えば隣地にある物置ゴミ置き場室外機等がリビングから見える位置にあるとせっかくのリビングも台無しです。隣地との距離が近い場合はソファに座っている時ダイニングテーブルに座っている時キッチンで料理をしている時など、生活の多くを占める場面での視線を気にして窓の配置を考えるようにしましょう。

対策

・型板ガラスにする

・高窓にする

・フェンスを設ける


視線対策:型板ガラス

引用:鏡とガラスの取扱説明書より

型板ガラスは透明ガラスと比べて内外のものが見えにくくなるという特徴があります。光は入るので採光をしながら視線を遮る事ができます。

とはいえ、距離が近いとシルエットがわかる人が通ったことがわかる場合があります。隣地の方が通行したり作業をしたりするたびに気配を感じることになるので落ち着きません。

ですので隣地との距離が近い場合は、型板ガラスにしたとしても隣地面の大きい窓はオススメしません

視線対策:高窓

通常の窓は大体90cm~2mのあたりに取り付けることが多いです。開閉がしやすくどんな状態でも窓の外の景色を視界に入れる事ができるのですが、その反面外から室内が見えてしまうという問題も生まれます。

高窓であれば視線の高さよりも高い位置にとるため、隣地、隣家から自宅室内が意図せずとも見えてしまう、もしくはその窓から隣地が見えてしまうという事がなくなります。

引用:泉北ホーム 建築実例より

高い位置にある窓は視線を遮ること以外にも

光を部屋の奥まで取り込むことができる

壁を使った家具配置が可能

窓からの侵入がしにくいので防犯上有利

といったメリットもありますので、まさに1Fリビングに最適な窓だと思います。

デメリットは

開閉、掃除がしにくい

自宅1F高窓とお隣2Fとの視線が斜めに合ってしまう可能性がある

ということが考えられます。

お隣の2Fからの視線は逆に距離がある程度離れている場合に起こり得ると思います。もしそのような可能性がある場合は型板ガラスの高窓にすることで解決ができそうです。

視線対策:フェンス

どうしても大きい透明ガラスの窓を入れたい所はその先にフェンスを設けることで視線を遮る事ができます。

隣家対策としてだけでなく、前面道路からの視線を隠すためにも使う事ができます。

ただし例外を除けば型板ガラス、高窓と違って追加費用のかかってしまう対策になります。外周ぐるっとフェンスを入れてしまうとその費用も高額になってしまいますのでここぞという所に使うようにしましょう。例えば、

✅ある程度自宅外壁から境界までの距離を取ることができる南面、もしくは間口面

こういった場所は日射をとることができたり窓から見える景色をつくりやすいため、大きい透明ガラスの窓をとることの効果が高い部分だと思います。その上で視線を隠すためにフェンスを設けるのは十分価値のある追加費用だと思いますが、すぐ外がお隣の外壁や窓なのに南だからと言って大きい透明ガラス窓をとり、フェンスで隠すのはナンセンスです。

そのような部分は型板ガラスや高窓を利用するのが良いでしょう。

空気

隣地面において気にするべきポイント、2つ目は空気です。

お隣から来る可能性があるのは視線だけでなく、エアコン室外機から出る暖気トイレの排気口やゴミ置き場などから発せられる臭気、またお隣に煙草を吸う方がおられる場合はその煙やニオイなどがあります。

自宅が隣地と近い場合、窓や給気口からお隣から発せられる空気を自宅に取り入れてしまう可能性があります。

避けるべきこと

・お隣のエアコン室外機やゴミ置き場、排気口の位置がわかっているにもかかわらずその近くに窓や給気口を設けること


すでに存在しているお家の隣に自宅を建てる場合はこういった事も気にしながら計画ができますが、隣地にどういうお家ができるかわからない場合はこのような対策があります。

対策

・給気口はなるべく隣地との距離がある方面に設ける

・窓は隣地との距離が近くなる面には極力設けないようにする、もしくはFIX窓にする


空気対策:給気口の位置

給排気口はこういったフードがお家の外側に付きます。外観に影響するものなので

施主
施主

ボコボコ出てるフードが道路側から見えるのは嫌だな

施主
施主

それなら隠れて目立たない隣地側につけよう!


という方も多いと思います。ですがそうしてしまうとお隣から出る空気を自宅に入れてしまう原因となってしまう可能性があります。

多少目立ってしまうかもしれませんが、給気口はなるべく隣地との距離がとれる方面、もしくは隣地に接していない方面につけ、フードの色などで目立たないような工夫をした方が良いと思います。

空気対策:窓

窓は隣地との距離が近くなる面には極力設けない事でお隣からの空気を取り入れずに済みます。視線は型板ガラスや高窓にすることで解決できますが、空気は窓を開ければどんな形であっても入ってきます。

開けられる窓を開けずに暮らすことになるならば、そもそも窓を設けないという選択肢もあります。

必要のない窓を減らす事は隣地からの空気以外にも費用や気密・断熱の面から考えてもメリットがあります。

また、採光を心配するなら元々開けることの出来ないFIX窓にするというのも一つの手段です。これなら採光をとることができ、開く窓より費用も安く気密の面でも有利な事が多いです。


有効幅

敷地に対して建物を配置する際に隣地境界線から自宅建物外壁(の中心)までの距離が出されますが、その距離と実際に使う事ができる幅=有効幅は少し違う場合もあります。

エアコン室外機や給湯器等の設置幅、搬入経路、作業スペースの確保ができなくなってしまう

✅勝手口や窓の開閉スペースの確保ができなくなってしまう

狭い通行幅が不便


有効幅を十分に取れないとこのような問題が出てきます。そうならないように建物の配置計画段階で以下のような配置を避けるようにしましょう。

避けるべきこと

・境界ブロックを考えない配置

・窓の開閉幅を考えない配置

・設備の設置や搬入出を考えない配置


有効幅対策:境界ブロック

隣地との境界線付近にコンクリートブロックが欲しいという方は多いと思いますが、その場合自宅側か隣地側か境界線上かなど、どこに設けるかで有効幅に影響が出ます。

新規分譲地などで土地の売主が開発段階で境界ブロックを設けない場合は、そこに家を建てる者同士で境界ブロックのことを決めていく必要がありますが、建物の設計段階でお隣の方とその取り決めを行うことができる事は少ないと思います。

いざお隣の方とその話になった時に「コチラ側に積みますよ」という方であればラッキーかもしれませんが最初からそのつもりで配置計画をするのはリスクが高いです。

逆に隣地の方が「我々はブロックは要らないから設けるならそちら側にどうぞ」と言われた場合、ブロックは自宅側に積むことになります。

ちなみに民法的には隣地の方が反対している場合でも境界線上に塀(板塀、竹垣その他これらと似た材料のもので、高さ2メートル以内のもの)を設けることができるようですが、話し合いがまとまらず法律を出した時点ですでに穏やかな話ではないですよね。ですので基本的には隣地の方が要らないというならブロックを設ける場合は自宅側の敷地内に積むのが良いでしょう。

対策

・室外機など隣地境界側に設置するもの、隣地境界側の開口部の開閉スペースをブロックがないものとしてギリギリに計画しない

・最悪ブロックを自宅側敷地に積むつもりで計画をしておく


有効幅対策:窓の開閉幅

ブロックに関しては地面から数十センチ~1,2メートルの高さに起こり得る影響でしたが、その上にも境界は存在します。それに気づかずに越境してしまう可能性のあるものがです。

引用:LIXIL お部屋に合わせた窓選びより

こういった縦滑り出し窓は外側にほぼ窓幅ほど開きます。

引き違い窓のように左右にアクションする窓であれば心配ないのですが、このように外側に開く窓をとる場合は開いたときに越境しないような幅の窓を選ぶ必要があります。

対策

・隣地側の窓は開いたときに越境しない窓を選ぶ


有効幅対策:設備の設置や搬入出

隣地面の有効幅は人の通行に影響しますが、合わせて設備を置くことができるか通るかどうかも考えなければいけません。

隣地面の幅が狭すぎると

室外機などを置く場所が間口側だけになってしまい外観や駐車スペースなどの外構計画に影響する

置くことはできるがメンテナンス等の作業スペース、搬出経路の確保ができない

各部屋に設置するエアコンの室外機、給湯器床暖房の室外機など結構な数の設備を敷地内に置く必要がありますが、おける場所が間口側だけだと室外機だらけの外観のお家になってしまいます。

また、電気の給湯器であるエコキュートはガスの給湯器に比べ奥行きがあるので、その設置場所だけでなくメンテナンスのためのスペース搬入出経路も必要です。特に新築時は搬入できたけれど十数年後の交換時にその経路にエアコンの室外機や物置を置いたりして設備が通らない、なんてこともあるので注意が必要です。

対策

・室外機など外に置く設備の数と置くスペースを考える

・作業スペースや搬出する時のことまで考える


まとめ

①視線対策:型板ガラス、高窓、フェンスなどを採用する

②空気対策:隣地側の給気口と開けられる窓は最小限に

③有効幅対策:ブロック、窓の開閉幅、設備の設置、搬入出経路を考えて配置


今回は永く暮らすお家が隣家、隣地が及ぼす影響を受けずに快適に暮らすために気を付ける事についてご紹介しました。

戸建て住宅の場合、自分が住む家と同様にお隣の方や家とも永いお付き合いになります

それまでマンションや賃貸で暮らしていた場合は住み始めた後に、想像をはるかに超える量のお隣に対して気になる事や思う事が出てくると思います。最初は小さい事だからと容認できても、それが続いたり積み重なって大きい問題やトラブルに発展していきます。

それを防ぐには、隣地や隣家が及ぼす影響をできるだけ受けないようにする逆にこちら側が与えてしまう影響をできるだけ減らすことが一番の策です。

せっかく快適に暮らすために建てるお家なのですから、揉め事でストレスを抱えることのないようにしましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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